アルコール中毒ROCK

酒と病気と音楽と人生を転がり倒す。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

44.『29歳』スケボー少女ゆき。

朝も早よからご苦労さん。 朝だよ。 僕の病室は4人部屋だが僕ともう1人しかいなくそのもう1人も長期外泊で個室みたいなもので気楽だ。 目覚めの一服をしに喫煙所に行くとえみちゃんが僕を待っていた。 「金ちゃん、アイスコーヒー作ってくるね!」 そう言う…

43.『29歳』再会。

西中園主治医が西山病院院内を案内してくれた。僕が入院する病棟は解放病院の「森の広場」というところだった。喫煙所を紹介してもらった時、懐かしい顔が笑顔で手を振っていた。柳川さんと大ちゃんとえみちゃんだった。 僕が泣き出すと西中園先生が慌てて「…

42.『29歳』戦ぎの手紙

ある日僕は飛び降りるマンションを決めた。 泣きながらみーちゃんに遺書を書いた。 みーちゃん愛してるよ みーちゃん愛してるよ 涙が止まらなかった。みーちゃん僕が死んだら悲しむかな。ごめんよ、みーちゃん。愛してるよ。 深夜0時が回った月曜日の真夜中…

41.『29歳』負けるなよ。

りんの本名は「美希」という。よって僕はいつしかりんをみーちゃんと呼ぶようになっていた。みーちゃんは僕を「にぃやん」と呼ぶが皆んなの前では「金田」と呼び捨てだった。僕らは仲良く愛を育んでいたがちょいちょいみーちゃんを怒らせてはぐぅぱんちされ…

40.『28歳』愛しのりん。

9月1日。 仕事が終わった僕は夕方からりんをドライブに誘った。市内をぐるぐる回りながらのドライブだ。 マクドナルドのドライブスルーで月見バーガーを注文すると僕達は「油山展望台」という山の山頂まで行くことにした。 油山展望台山頂に着くと2人で夜景…

39.『28歳』土砂降りの中の地足場組み。

8月下旬。 この日は雨の中の足場地面組みと相成った。 広さんとトモくんと3人で現場に出向き人夫出しの西海工業からは5人の職人が来ていた。 朝礼、KY活動が終わり8人で足場組みに入った。出窓が多い新築マンションで地組みは困難を要した。しかしさすが広さ…

38.『28歳』香椎花園デート。

次の日曜日はりんを香椎花園という遊園地に誘った。りんから「OK」をもらい愛車のワゴンRでりんの家の近くのバス停まで迎えに行った。 CG202を飲み準備万端だ。 バス停に向かって小走りに走ってくるりんが見えた。僕は車を降りて助手席のドアを開けた。 「恥…

37.『28歳』2回目の告白。

夕暮れ時、天神町の警固公園という場所でりんと待ち合わせをしていた。 りんがオレンジ色のTシャツを着て現れた。 はにかんだ笑顔が可愛い。 僕とりんは営業している屋台を物色して「天后」という名前の屋台に入った。 屋台は景気良くサラリーマンの人々やカ…

36.『28歳』初めての告白。

りんへの想いは募るばかりだった。 28歳の7月7日、七夕。日曜日。 僕はチャットにログインした。 りんがオンラインだった。 りんに個人的に話しかけた。 「おぉ、かのん!どした?」 僕は勇気を振り絞ってタイピングをした。 「僕と付き合って下さい!」 し…

35.『27歳』確信の恋。

土曜日の夕方。 りんとじょじょと連絡を取り合って大名町の『折井の四季』という個室の料亭で待ち合わせた。じょじょとりんは先に到着していて僕は遅れて入った。 じょじょはあいも変わらずトボけていた。 りんも上機嫌で焼酎の『中々』という麦焼酎を呑んで…

34.『27歳』鳶一代。

6月に入った。 現場は蒸し暑く汗だくで作業していた。 夢田組の職人は一部を除いてとにかくウダウダと働いていて見ていてイライラした。 僕は馬鹿の真似をしようと決めた。 馬鹿の真似とは知ってるのにわからないフリをすることである。出しゃばったところで…

33.『27歳』夜桜の恋。

春が来た。 日雇い労働者だった僕は元請け会社の 『夢田組』 という鳶、土工会社から引き抜きにあった。 月給25万円で会社から徒歩1分の所に会社が借りているアパートがありそこに住めるといった好条件だった。部屋は2階の203号室でロフト、簡易照明付きで天…

31.『26歳』石川で生まれた女-前編-

12月。 瞳ちゃんは毎日朝方に帰ってくるようになった。2度目の浮気だった。 僕は瞳ちゃん別れたいか聞くと瞳ちゃんは「別れたい」と言った。 子供達は僕が面倒見ると言うと「金ちゃんは今無職だから親権は私にある」と言われぐうの音も出なかった。女は恐ろ…

32.『26歳』石川で生まれた女-完結-

「あいあーむがーっちゃーいるど!」 小さな声を振り絞りながら鬼束ちひろを熱唱するアヤは握ったマイクは離さないタイプだった。鬼束ちひろが汚れてゆく。それにしてもオンチでしゃがれた声だ。 一通り歌うとアヤは僕にマイクで話しかけた。 「かのーん!ギ…

30.『26歳』タロちゃんの夏休み-完結-

網の上で焼いたキスを1番にタロちゃんが口に運んだ。 「うーまい!うまいよ!金ちゃんも食べて!」 僕もタロちゃんが釣り上げた焼きたてのキスをいただいた。 「ほふほふ!うまっ!ビールビール!」 僕とタロちゃんが騒いでいると家族連れのお父さんらしき人…