アルコール中毒ROCK

酒と病気と音楽と人生を転がり倒す。

2018-05-01から1ヶ月間の記事一覧

29.『26歳』タロちゃんの夏休み-前編-

8月下旬。 夏が終わる。 タロちゃんはビールサーバー設置業務会社で働いていて盆休みも返上して働いていた。 やっと細やかな夏休みをもらったらしく僕に金曜日、電話をしてきた。 「金ちゃん?今日金ちゃんの家に遊びにいくけど、 日曜日海釣り行かない?」 …

28.『26歳』ひーことりん。

僕が入院している時、 瞳ちゃんは自分専用のノートパソコンを購入して僕の真似をしてヤフーチャットをしていた。 IDは『hi_co』 「ひーこ」と読むらしかった。 瞳ちゃんには僕のチャット仲間の話しをしていた為自分でりんの「芋部屋」に行き、りんと仲良くな…

27.『26歳』最後の冒険-完結-

非常階段の踊り場で柳川さんがコホンと咳を1つして胸を張って言った。 「よし、そろったな。 最後の夜だ。 ハデにやろうぜ!」 「おーっ!」 手を振り上げると柳川さんが合図をした。 「出発だ、野郎ども!」 「はい!リーダー!」 柳川さんを先頭に僕達は…

26.『26歳』最後の冒険-後編-

仲間達との最後の夜が来た。 皆んなといつものように喫煙所で煙草を吸う。 他愛もない話しをしているとたまに煙草を吸いにやってくる『サカイ』という新人看護師が現れた。 「よう、仲良くやってるかい?オレも混ぜてくれ」 そう言うとサカイ看護師は内ポケ…

25.『26歳』最後の冒険-中編-

『太宰府公園』に行く途中で近くのコンビニで缶ビールとお菓子を調達した。 それからまた自転車を漕いでやがて太宰府公園に到着した。 僕達は公園の見晴らしがいい高台に腰を下ろして缶ビールとお菓子を地面に並べた。 「太陽が気持ちいいね!」 えみちゃん…

24.『26歳』最後の冒険-前編-

季節は8月上旬。 夏真っ盛り。 喫煙所で僕にアイスコーヒーを作ってくれるえみちゃんがいた。 いつものメンバーで煙草を吹かしていた。 7月に入って僕はすこぶる晴れた心になった。 僕は思いついたように今週中に退院しようと心に決めた。かれこれ9ヶ月も入…

23.『26歳』えみちゃん奪還-完結-

非常階段の3階の踊り場に着いた。 柳川さんの表情が硬くなった。 「ここから気を引き締めていくぞ!」 3階のA-3病棟の非常口の扉を静かに開いた。ノブがガチャッと音を立てた。腰を沈めて暗闇に光るナースステーションの灯りに歩いていく。 開放病棟と違って…

22.『26歳』えみちゃん奪還-中編-

図書室の端っこのテーブルの上で閉鎖病棟の見取り図を柳川さんは開いた。 「俺も昔閉鎖病棟A-3病棟に 入院したことがあるが念には念を入れて、 ここからA-3病棟まで行く地図を頭に叩き込むぞ」 皆んなで閉鎖病棟の見取り図を食い入るように見た。柳川さんは…

21.『26歳』えみちゃん奪還-前編-

仮退院、最終日。 今日は金曜日で昼過ぎには病院に戻る日であった。 10時頃から僕は缶ビールを片手にパソコンの前に座るとヤフーチャットにログインした。 『芋部屋』を探すとカテゴリーに表示されているのを見つけた。さっそく入室する。 -- kanon_kamenoサ…

20.『27歳』仮退院、少年甲斐-完結-

「甲斐ちゃんは今日何時に福岡を出発するの?」 甲斐ちゃんはニヤニヤした。 「金田は寂しがりやさんだなー!6時ぐらいだよ!」 僕は不覚にも照れてしまった。 「だって、たちいったこと言うかもしれないけど わざわざ平日に甲斐ちゃんも骨折れてるのに 夕方…

19.『27時』仮退院、少年甲斐-前編-

仮退院3日目。 朝、子供達を学校と幼稚園に瞳ちゃんと見送ると僕は麦茶が入った水筒と瞳ちゃんに作ってもらったサンドイッチのお弁当を持って1人で釣りに出かけた。那珂川町にある野池に向かう。そこの野池はタロちゃんと2人でよく行く釣り場で安定した釣果…

18.『26歳』仮退院、焚き火-完結-

タロちゃんは上半身を川の中で脱いで服に川魚を包むと流れの激しい川をもろともせずに岸まで泳いで帰ってきた。 「やったよ金ちゃん!おれ達やったー!」 「タロちゃんやったね!途中から釣りじゃなかったけど!」 僕も膝までびっしょり濡れたがタロちゃんは…

17.『26歳』仮退院、焚き火-中編-

腕時計は5時15分を回った。 釣りを始めてから3時間が経過した。魚のアタリはまだ無い。 しかし毎度のことながら僕達は日没になっても釣れるまで時間が許すまで釣りをやり倒す。 なんせ初めての川釣りで仕掛けはブラックバス用だ。まさに未知の世界。 酒はた…

16.『26歳』仮退院、焚き火-前編-

5月の昼下がり。 僕は病院を外泊することになった。 柳川さん達には1週間くらいで戻りますと伝えて病院を後にした。 入院して5ヶ月になるが家族、親戚は誰1人とお見舞いに来なかったが何故か僕はその方が良かった。身内にはもうウンザリだったからだ。タロち…

15.『26歳』青春の天体観測-完結-

病院は地上6階まである。 屋上を入れれば7階になる。 5階まで登ると僕以外皆んなバテてしまった。 「もう2時10分ですよ!」 僕が皆んなを急かすと柳川さんがはあはあ言いながら、 「金ちゃんはガテン系だから俺らを一緒に したらダメだぜー」 と言いながら煙…

14.『26歳』青春の天体観測-中編-

「ハカセに!??」 柳川さんが言った言葉に5人はどっと驚き湧いた。 「今の時期なら木星や土星が肉眼でも見れるぜ ハカセからも色々話しを聞こうぜ!」 僕は話しを聞くだけでハラハラドキドキした。 「でも屋上なんて看護師許してくれるかな?」 えみちゃん…

13.『26歳』青春の天体観測-前編-

太宰府病院はとにかくバカでかい病院だ。売店に何回行っても迷子になりナースステーションで自分の病棟を教えてもらう羽目になる。 僕の病室は4人部屋で僕を合わせて3人入院していて僕は廊下側で隣の窓際のベッドに男性が1人、向かい側に10代らしき男の人が1…

12.『26歳』りんとの出会い。

ヤフーチャットで初めて入室した部屋が 『音楽全般』 という部屋だった。 入室してから緊張した指で「こんにちは」とタイピングするとパラパラと「こんにちは」と返事が返ってきた。それからは僕はずっとROM(傍観していること、またその模様)しており皆んな…

39.『28歳』土砂降りの中の地組み。

8月下旬。 この日は雨の中の足場地面組みと相成った。 広さんとトモくんと3人で現場に出向き人夫出しの西海工業からは5人の職人が来ていた。 朝礼、KY活動が終わり8人で足場組みに入った。出窓が多い新築マンションで地組みは困難を要した。しかしさすが広さ…

11.『25歳』舗装屋さんとインターネット

西進工業の門を叩いたのはゴールデンウィーク明けの5月中旬だった。 瞳ちゃんのお父さんの会社で僕はまたペーペーからのスタートである。 社員は瞳ちゃんのお兄ちゃんを合わせて5人。 機械乗りの3人、 『大塚さん』55歳。 『中原さん』40歳。 『田中さん』35…

10.『24歳』終焉と裏切り。

月初、5日。 金田組は給料日である。 給料は手渡しで給料袋を配るのは瞳ちゃんの仕事だった。 皆んなが給料を貰い終わると給料日恒例の寿司パーティーが始まる。 酒を呑み交わし日頃の仕事の反省をしつつもお互い褒め称え合い、騒いだ。 20歳になった若手3人…

アナキスト。

アナキスト。 まず日本の音楽業界は 「ANARCHY IN THE U.K.」を歌うな。 これから始めよう。 Xは無敵バンドなるものでセックス・ピストルズの「ANARCHY IN THE U.K」を歌っている。それはまずは良しとしよう。だがしかし解せない事がXに、いやYOSHIKIにある…

9.『23歳』職人堅気。

金田組は福岡の桧原町の片隅に30畳程の2階建て事務所を借りた。 1階は道具置き場と社員の私物と安全帯、ヘルメットなどを仕まうロッカー置き場にした。あとは朝、下請けの職人達が現場へ出発までの休憩所でもあった。 毎朝事務所に20名前後の西海工業の職人…

8.『22歳』シンナー中毒。

鹿児島5人組は宮崎20歳の他に宮崎と同じ歳の 『タカヒサ』 というのがおり、あとの3人は皆んな19歳であった。 仕事の能力は宮崎に引けを劣らず僕が現場を抜ける時は宮崎班とタカヒサ班に分かれていた。 ある日、僕が営業で現場を離れていると宮崎から携帯に…

7.『21歳』始動。

新社会人も彩る春。 前もって営業をかけていた会社から次々と仕事が舞い込んだ。 宮崎率いる総勢5名は福岡に5人で2DKを借り装填していた。 「宮崎、来週から2班に分かれて行動するぞ」 僕のリビング、半事務所で宮崎と話し合った。 「わかりました!いざ!…